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中谷太洋さんが、企業間取引ネットワークにおける階層構造について分析した結果を応用地域学会にて発表しました。

2024年11月30日

DEMLセンター研究支援者の中谷太洋さんが、企業間取引ネットワークにおける階層構造について分析した結果を2024年11月30日(土)に応用地域学会にて発表しました。その研究成果の概要を本ページにて紹介します。 予稿は大会公式サイトにて期間限定で公開されました。大会詳細はこちらをご覧ください。

概要:自然災害や戦争により不確実性が増す現代では、生産物の供給の連鎖を表す階層的な概念であるサプライチェーンを把握する必要がある。しかし、実際の取引ネットワークには他にも産業連関のような水平的な構造も内包されるため、これらを区別することは困難である。そこで本研究では、ネットワーク上の流れを勾配流と循環流に分解することができる、組み合わせホッジ分解を取引を通じた資金の流れに適用した。勾配流では各企業に最適化される、スカラー・ポテンシャル(以下、ポテンシャル)の差によって流れの方向や大きさが規定されるため、ポテンシャルは階層的な流れの始点と終点の標高のような役割を果たす。この指標を産業ごとに集計した結果、一次・二次・三次産業へ直感的な順にモノが流れる一方で、平均的な値を見ると産業ごとに違いが出ず、階層関係が認められないという結果となり、産業分類がサプライチェーンを理解するための単位として適切ではない可能性が示唆された。また、取引ネットワーク全体を分解すると、ミクロに見た場合にポテンシャルが最も高い1社にすべての資金が集中することとなるため、現実のシステムと乖離することがわかった。2025年2月の計算社会科学会では、これらの問題を踏まえて発展させた研究を報告する。